宇野昌磨を長年取材してきた坂上武司記者が思いの丈をつづりました。
宇野昌磨の引退に寄せて
真央ちゃんに誘われて、大ちゃんに憧れて。
競技引退を明らかにした宇野昌磨のフィギュアスケート人生は、偉大な先輩との出会いに満ちていた。
覚えている光景がある。2005年のこと。浅田真央の取材で訪れた名古屋・大須のリンクだった。小さな小さな宇野が何度もジャンプに挑み、氷にはじかれていた。その度にリンクサイドのお母さんにしかられ、大泣きしていた。名古屋の小さな原石の「しょうまくん」だったころの話だ。
恩師の山田満知子コーチが、まだ小学生だった宇野の肩に手を置いて、僕にこう紹介してくれた。
「うちの将来のスターよ」
後輩に託すジャンプのひけつ
今年4月に行われたアイスショー「スターズオンアイス横浜公演」。4月6日の早朝に行われた練習に宇野は参加した。
一番の目的は、同じ愛知出身…